私たちは、皇室の伝統的な男系継承を確保する「養子案」の早期実現を求める活動を進めています

(議事録全文)『安定的な皇位継承の在り方を検討する有識者会議』(第11回・令和3年11月30日)議事次第・配付資料・議事録

有識者会議(令和3年)

『安定的な皇位継承の在り方を検討する有識者会議』は通称であり、正式名称は『「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議』です。

議事録、資料などは次に示す内閣官房のホームページに掲載されていますが、Webでの閲覧や検索に適さないPDF形式であるため、当HPにてHTML形式に整形しなおしたものを掲載し、メディアによる切り取り・偏向報道を経ていない1次情報を広く国民の皆様に知っていただきたいと存じます。

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議|内閣官房ホームページ
内閣官房,「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議

議事次第

第11回 「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議 議事次第

日時:令和3年11月30日(火)16:30~17:40
場所:総理大臣官邸大会議室

議事

○ 開会
○ 内閣総理大臣挨拶
○ 調査・研究事項の報告
○ 討議
○ 閉会

配付資料

資料1  : 事務局における制度的、歴史的観点等からの調査・研究(概要)(PDF/280KB)

資料2  : 事務局における制度的、歴史的観点等からの調査・研究(PDF/1,739KB)

参考資料 : 今後の整理の方向性について(PDF/273KB)

議事録

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議(第11回)議事の記録

1 日時:

令和3年 11 月 30 日 16:28~17:51

2 場所:

総理大臣官邸大会議室

3 出席者:

・「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者 会議メンバー

大橋 真由美 上智大学法学部教授
清家 篤   日本私立学校振興・共済事業団理事長 慶應義塾学事顧問
冨田 哲郎  東日本旅客鉄道株式会社取締役会長
中江 有里  女優・作家・歌手
宮崎 緑   千葉商科大学国際教養学部教授

・政府側出席者

岸田 文雄  内閣総理大臣
松野 博一  内閣官房長官
栗生 俊一  内閣官房副長官
山﨑 重孝  内閣官房参与・皇室制度連絡調整総括官
岩尾 信行  内閣法制次長
池田 憲治  宮内庁次長
大西 証史  内閣総務官(皇室典範改正準備室長)
溝口 洋   内閣審議官(皇室典範改正準備室副室長)

4 会議の内容

(1) 出席者挨拶等

〇 次のとおり岸田内閣総理大臣から挨拶があった。

皆様におかれましては、御多忙の中、本日はお集まりいただきましたことに、厚く御礼申し上げます。
また、国家の基本に関わる極めて重要な、かつ、大変難しい事柄について、3月の会議の立ち上げ以来、熱心に御議論いただいてきたことに改めて感謝を申し上げたいと存じます。
皆様には、皇室制度や歴史の専門家など様々な方々のお考えも聞いていただいた上で、本年7月、今後の整理の方向性を示していただきました。大変よくまとめていただいており、しっかりとした議論を、丁寧に重ねていただいたものと受け止めております。この方向性を基に、最終的な取りまとめに向けて、引き続き十分に議論していただきたく存じます。
政府としては、皆様の議論の結果を尊重してまいりたいと考えておりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

〇 次のとおり松野内閣官房長官から挨拶があった。

皆さまにおかれましては、大変お忙しい中、お集まりをいただきまして、私からも心から御礼を申し上げる次第であります。
この大変重要な、そして大変難しい事柄について、皆さまには議論を積み重ねていただいており、3月に会議が立ち上げられて以降、私も皆さまの御議論を関心を持って拝見をしてまいりました。これから最終的な取りまとめに向けて議論を重ねていただくことと思います。皆さまの議論を真摯に受け止めるとともに、官房長官として、各方面との調整等につきましてしっかりと対応してまいりたいと考えております。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

〇 栗生内閣官房副長官から、杉田前副長官を引き継いで、皆さまに十分御議論をいただくよう全力でサポートをしてまいりたい旨挨拶があり、続けて、有識者会議メンバーから挨拶及び自己紹介が行われた。

(2) 調査・研究事項の報告、討議

〇 事務局から、資料1「事務局における制度的、歴史的観点等からの調査・研究(概要)」に沿って説明があった。

資料1  : 事務局における制度的、歴史的観点等からの調査・研究(概要)(PDF/280KB)

資料2  : 事務局における制度的、歴史的観点等からの調査・研究(PDF/1,739KB)

〇 有識者会議メンバー間で次のような議論があった。なお、欠席の細谷構成員から事前に事務局が伺ったコメントも紹介され、出席者の発言と同様に議事の記録に記載することとされた。

・ 多くの有識者からお話を伺い、今日調査・研究結果の報告も受けた。最終的な取りまとめを進めていく時期ではないか。

基本的には、前回の会議で了解した「今後の整理の方向性について」に沿って、様々な論点を絞り込むのではなく、考え方として様々な方策があることを示すような形でまとめていくのがよいのではないか。

その上で、2点だけ整理しておいた方がいいと思う点を申し上げたい。

1点目は、内親王・女王に婚姻後も皇族の身分を保持していただく際に、配偶者とお子様にも皇族となっていただくのかどうかという点である。様々な御意見があるが、配偶者・子が皇族となる場合には、女系のお子様が皇位を継ぐことも起こり得るのではないか、という考え方があるのは事実である。また、配偶者が皇族となることとすると、御結婚のハードルが上がってしまう可能性もあるのではないか。その意味で、現時点の整理としては、配偶者やお子様は皇族とはならないという方向で整理すべきではないか。

2点目は、養子縁組について、養子となり得る方の範囲をどうするのかという点である。対象者の範囲を広げすぎると混乱を招きかねないため、旧11宮家の元男性皇族の御子孫を対象とするのがよいのではないか。旧皇族の方も一般国民として70年以上過ごしてこられており、一般の国民の理解と支持を得るのが難しいのではないかとの意見もあるとは思うが、現行の日本国憲法と皇室典範の下で皇位継承資格を有しておられた方々の御子孫である。養子となられた後、現在の皇室の方々と一緒に活動されることによって、時間の経過の中で国民からの理解や共感が培われていくのではないか。養子は、広く一般国民の中で行われていることであり、歴史的には徳川宗家の継承においても養子が行われている。その意味で、養子縁組を通じて新しく皇室にお迎えするという方法は理解され得るものではないか。

・ 総論として、事務局の調査・研究により、「今後の整理の方向性について」で提示した各方策のイメージができてきた。「今後の整理の方向性について」に沿った形で最終的な取りまとめをしていくことでよいのではないか。

また、我が国と同様、男系男子継承制を採るリヒテンシュタインにおいては、女性皇族が婚姻後も公族の身分を保持しつつ、その配偶者と子は公族とならないという制度であることや、継承者が不在となった際に継承養子を迎えることとしている制度があることは、緩やかに皇族数を増加させようと考えている今後の検討において参考となるのではないか。

・ 女性皇族の方が婚姻後も皇族の身分を保持することを可能とする案について、その法形式は、一人一人の女性皇族の方の身分に関わる話であるので、調査・研究結果のとおり、恒久的な制度として対応することがよいのではないか。具体的な方策を考える際には、皇室制度を構成しているのは血の通った人間であるということを踏まえる必要があるのではないか。

養子縁組の法形式については難しいが、これまで血縁関係を重視して考えられてきた制度との整合性という意味では、恒久的に養子縁組を可能とするのは難しいのではないか。国民の間での平等感という点も考えると、一定の期間を限るということが考えられるのではないか。

ただし、具体的な立法形式は国会で判断すべきことであり、そちらに委ねるべきではないかとも思う。会議の取りまとめとしては、附帯決議の範囲内で必要なことをお答えすべきではないか。

・ 皇族方のお立場の観点から、婚姻後も身分の保持について、現在の内親王・女王殿下方は、現行の皇室典範にあるとおり、結婚によって皇族ではなくなるということを念頭にこれまで生活なさってきた。皇室にお残りいただきたいとしても、そのお気持ちを尊重するべきではないか。現行制度の下でお過ごしになってきたということは非常に重いものであり、この点は最終的な取りまとめに盛り込みたい。

養子縁組についても、当事者の方の御意思が重要である。その上で、養子に来ていただいた方を支える体制を作っていくことが必要ではないか。

・ 最終的な報告を取りまとめる際には、会議として、できるだけワンボイスで推奨できる案を提示していくことが、分かりやすく伝えるためにはよいのではないか。

また、現行制度の下で生きておられる方について、後出しで決めたルールを無理に適用するというのは適当ではなく、御意思を尊重することが必要ではないか。一方で、これから生まれる方については、恒久的な制度として、婚姻後も皇族の身分を保持するということを決めておいてよいのではないか。現在の内親王・女王殿下方とこれからお生まれになる方については区別して考えるのがよいのではないか。

養子縁組については、離縁となった場合にどうなるかなど、様々なケースを想定して考えることが必要であると思う。

・ 会議の報告書は、我々のワンボイス、まとまった考え方を示すものでなければいけないと思う。

共通の認識として、まず現行皇室典範の下で定められている現在の皇位継承についてはゆるがせにしないということを前提に議論をする、ということであったかと思う。

皇位の安定的な継承について議論が、かえって現在既にある安定性を損なってしまってはよくない。この点に加え、今の皇族方が描いておられる人生設計を前提に考えるべきという点からも、悠仁様までの皇位継承はゆるがせにしないことを前提に考えるということは一致していることではないか。

その上で、客観的問題として突きつけられているのは、今の制度のままではやがて皇族がいらっしゃらなくなってしまうおそれがあることである。そうなると、摂政や国事行為の臨時代行、皇室会議の議員・予備議員といった公的役割が果たせなくなることから、まず緊急性が高いのは、皇族数の減少をどうするかということであり、この点も共通認識としてお示しできるのではないか。

皇族数を確保するということについては、客観的に考えれば、現在いらっしゃる女性の皇族の方々に皇族に残っていただくか、かつて皇族だった方々の御子孫に何らかの形で皇族となっていただくか、この2つの方法となる。

後者については、男系の血のつながりのある方であれば、いつでも誰でも皇族となることができるということはなかなか難しいのではないか。法的なレジティマシーという観点からは、現行憲法が成立した後も皇位継承権を持っておられた旧皇族の御家族の中から皇族となっていただくということが考えられる。また、ヒアリングを踏まえて議論をしたことから考えると、法律により直接皇族となっていただくよりも、宮家に養子に入っていただくという形が望ましいのではないか。

事務局の調査・研究にあるような様々な論点があるところではあるが、このように客観的に考えられることを報告書にまとめていくのがよいのではないか。

皇位継承資格に関する点が一番注目されることと思う。しかしながら、これまで議論してきたように、喫緊の課題は皇族数の確保であり、その意味で、女性皇族に残っていただく方策と、養子縁組により皇族となっていただく方策をお示しするということが重要である。

その際、女性皇族の子孫の皇位継承の可能性についての注目度が高いと思われ、その点については明確にすべきではないかと思う。皇位継承資格に関しては、議論の成熟を待つことも必要であり、皇族数を確保する措置を講ずるためにも、現時点では、女性皇族の配偶者や子は皇族とならないということで整理をすることは、納得感があるのではないか。

・ 女性皇族が結婚後も皇族に残られ、配偶者やお子様は皇族ではないという制度とすることを考えるときには、単に制度を設ければよいということではなく、新たな制度の下で生きていく当事者の視点を持つことが必要である。

・ 女性皇族が結婚されれば皇族の身分を離れられ、御本人も、配偶者もお子様も皇族ではないという現行制度から、一歩踏み出して、女性皇族に皇族として残っていただく。そこで一気に、女性皇族だけではなく、配偶者やお子様まで皇族となっていただくようにするというのは、飛躍が大きいのではないか。そういう意味で、まずは配偶者やお子様は皇族とならないという整理でよいのではないか。

・ 女性皇族について御本人には皇族の身分を保持していただき、配偶者とお子様は皇族とならないこととするということと対称的に考えれば、養子となる方が婚姻していて既にお子様がいらっしゃるようなときには、民法と同様、子については養親との親族関係が生じないこととし、皇族とならないことも考えられるのではないか。

・ 新しい制度を国民の納得の下で運用していくためには、個別の事例を判断する等皇室会議の果たす役割が重要ではないか。

・ 最終的な取りまとめの中では、ヒアリングで聴取した皇族の身分を離れた元女性皇族の方に皇室の御活動を支援していただくという方策についても触れておく必要が
あるのではないか。

・ 皇統に属する男系の男子に皇族となっていただくことについては、「今後の整理の方向性について」で示したとおり、まずは養子縁組を追求していくことでよいと考えるが、法律により直接皇族となっていただく方策については、皇族という特別な身分に関することであるから、一般国民の家族制度とは異なるアプローチで考えていくという発想もあっていいのではないか。現在一般国民である方が皇族と親子関係を結ばずに皇族となるという困難な面はあるが、それは、わざわざ皇族の方々に養子縁組をしていただかなくてもよいという利点でもあるのではないか。

参考資料 : 今後の整理の方向性について(PDF/273KB)

(3) その他

・ 座長から、報告書の骨子案を作成するよう事務局に指示があり、次回会議では、報告書の内容を議論することとなった。

・ 第12回会議については、12 月6日(月)16:30 から開催することとなった。

 

 

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