私たちは、皇室の伝統的な男系継承を確保する「養子案」の早期実現を求める活動を進めています

(議事録全文)『安定的な皇位継承の在り方を検討する有識者会議』(第9回・令和3年7月9日)議事次第・配付資料・議事録

有識者会議(令和3年)

『安定的な皇位継承の在り方を検討する有識者会議』は通称であり、正式名称は『「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議』です。

議事録、資料などは次に示す内閣官房のホームページに掲載されていますが、Webでの閲覧や検索に適さないPDF形式であるため、当HPにてHTML形式に整形しなおしたものを掲載し、メディアによる切り取り・偏向報道を経ていない1次情報を広く国民の皆様に知っていただきたいと存じます。

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議事次第

第9回 「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議 議事次第

日時:令和3年7月9日(金)15:30~17:00
場所:総理大臣官邸小ホール

議事

○ 開会
○ 討議
○ 閉会

配付資料

資料   : 討議用資料(PDF/233KB)

参考資料 : 有識者ヒアリングで表明された意見について(PDF/704KB)

議事録

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議(第9回)議事の記録

1 日時:

令和3年7月9日 15:29~17:05

2 場所:

総理大臣官邸小ホール

3 出席者:

・「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者 会議メンバー

大橋 真由美 上智大学法学部教授
清家 篤   日本私立学校振興・共済事業団理事長 慶應義塾学事顧問
冨田 哲郎  東日本旅客鉄道株式会社取締役会長
中江 有里  女優・作家・歌手
細谷 雄一  慶應義塾大学法学部教授
宮崎 緑   千葉商科大学国際教養学部教授

・政府側出席者

杉田 和博  内閣官房副長官
岩尾 信行  内閣法制次長
山﨑 重孝  内閣府事務次官(皇室典範改正準備室参与)
池田 憲治  宮内庁次長
大西 証史  内閣総務官(皇室典範改正準備室長)
溝口 洋   内閣審議官(皇室典範改正準備室副室長)

4 会議の内容

〇 資料「討議用資料」について事務局から説明が行われ、有識者会議メンバー間で次のような議論があった。

【女性皇族に婚姻後も皇室に残っていただくことについて】

・ どのような形で法的措置を講じるかについて、現在いらっしゃる内親王・女王殿下方と、今後お生まれになる男系の女性皇族とを分けて考えるべきではないか。今後お生まれになる方については、一般の制度として法的措置を講ずることを検討すべきだと思うが、現在の女性皇族の方々は、御本人の御意思も尊重する必要があることから、個別・特例的な形で法的措置を講ずることがよいのではないか。

御本人の御意思の位置付けについては、現行制度では婚姻により皇籍離脱することとなっていることから、現在の女性皇族の方々には確認が必要ではないか。制度改正後にお生まれになる方については、それは必要ないのではないか。

制度の対象については、できるだけ広く多様性のある皇室を作るべきという視点から、内親王に限定せず、女王も含める方がよいのではないか。

配偶者やお子様をどうするかという問題は本当に難しい問題であり、歴史や伝統を重んじながらも、変化していく国民の感覚とかけ離れないようにバランスをとりながら結論を出していくことが必要。その意味で、皇位継承権の範囲をどうするかという問題を議論することとなった際に、併せて結論を出すこととしたらよいのではないか。

当面は、配偶者とお子様は皇族とはしないとするのが現実的であり、受け入れやすいのではないか。その上で引き続き議論するのがよいのではないか。

皇室会議の議を経ることについては、男性皇族の婚姻と同様、当然必要ではないか。

・ 制度改正後にお生まれになる男系の女性皇族の方は、一般制度として措置することはあり得るのではないか。現在いらっしゃる女性皇族方には人生設計もおありであり、御意思を尊重しながら、個別・特例的に措置をするという考え方もあるのではないか。

皇室制度の変更については、様々な国民感情があろうと思われるが、対象を内親王に限定することで、制度改正に対する抵抗感を和らげることができるのではないか。

配偶者や子を皇族とするかどうかについては様々な意見が考えられ、皇族とすることについては、国民感情の点でハードルが高いのではないか。1代限りとした上で、いずれ、今後の皇位継承に関する議論と共に議論する機会を持つのがよいのではないか。

皇室会議は、現行制度上も、様々な難しい局面で判断をすることとなっており、女性皇族に婚姻後も皇族に残っていただくということについても、皇室会議の議を経るということが非常に重要なことではないか。

・ 男性皇族の配偶者や子が皇族となることから、女性皇族の配偶者や子が皇族とならない場合には、国民から見ても、皇族の皆様から見ても、バランスがとれないと感じさせることにならないか留意する必要があるのではないか。当面は皇族としないことがベターであるとしても、悠仁親王殿下が御結婚される頃までには、何らかの答えを出すべきではないか。これは、時間的にそれほど先のことではないということも認識しておかなければならないのではないか。

・ どのような形で法的措置を講じるかについては、技術的なことでもあり、どの手法にもメリット・デメリットがあることから、最終的には国会でお決めいただくこととして、会議としては、いろいろな選択肢があるということを確認する、ということでよいのではないか。ただし、現在いらっしゃる女性皇族方については、その方の人生設計があると思うので、御意思を尊重することへの配慮は非常に大事ではないか。

内親王・女王を共に制度の対象にするかについては、理屈で簡単に決めることのできない難しい問題であるが、国家財政に支えられる制度であるという点で、皇室の規模という観点も考慮して検討する必要があるのではないか。

内親王・女王の配偶者や子の待遇については、対立が先鋭化しやすい論点であり、幅広い理解を得るためには、当面、皇族としないこととせざるを得ないのではないか。ヒアリングにおいて、家族法の観点からの問題はないという話もあった。ただし、ずっとそのような扱いで良いかというのは、別の課題である。

皇室会議の議を経ることは考えられるのではないか。

・ イギリス王室では、アン王女は王族であるが、御家族は王族ではなく、それによって問題が生じているわけではない。このような海外の例を見ても、御本人は皇族であるが、御家族はそうではない、という形も、それほど無理なく成立するのではないか。

女性皇族のお子様については、皇位継承権とは別の問題として、将来的に皇族になっていただくという道もあるのではないか。天皇の国事行為など様々な役割を代理できる方が十分にいらしていただきたい、皇室と国民との相互関係・コミュニケーションという意味でも必要な体制を保っておきたい、という目的を考えると、このような道も考えておくのがよいと思う。

皇室会議は、皇族方が構成員となっているという点でも、これを活用することは大事ではないか。

制度改正後にお生まれになる方には改正後の制度をそのまま適用できると思うが、今いらっしゃる方については、御本人や、周りの方、国民の全てが十分に納得できる進め方をするため、あまりドラスティックな形で進めない方がいいのではないか。

・ 皇位継承とは別に、皇族としての役割を引き続き果たしていただくことが喫緊の課題であるということで考えると、女性皇族の配偶者や子も皇族でなければならないということでもないのではないか。当面は、配偶者やお子様の問題は後の議論としてまずは、皇族として今上陛下や将来の天皇陛下を助けていただける方に皇室に残っていただく措置を講じるという考え方でよいのではないか。

・ 「女性宮家」という言葉によって、一足飛びに議論がされ、多くの反対論が生じているように思う。配偶者・子は皇族とせず、内親王・女王御本人が皇族に残るという形であれば、そこまで強い反対はないのではないか。

・ 「女性宮家」については、その定義も多くの国民の中で一致していない中で、議論が曖昧になっている部分があるのではないか。「女性宮家」に対する反対は、おそらく女性天皇・女系天皇につながるという危惧があるということではないか。

・ 永続的に女系でつながっていくものが「女性宮家」であるとの考えの下で、この問題を誤解している人も多いのではないか。このような意味で「女性宮家」と言われているものと、男系の女性皇族方に皇族として残っていただくということが必ずしも同じではないということを明確に整理する必要があるのではないか。

・ 皇族になるということは、基本的人権との関係で制限を受けるということでもあり、特別な立場を得るということでもある。いろいろな側面があり、また、損得の問題として捉えるべきことでもないが、配偶者が皇族となることは、配偶者御本人にとって困難な面もあるということも念頭に置いて考えていく必要があるのではないか。

・ 当面、今までの生活を大きく変えることがないようにするため、配偶者を皇族としないことが穏やかな解決方法であるという考え方は、理解を得られやすいのではないか。

【皇族との養子縁組について】

・ 養子となる方の範囲は、戦後新しい憲法・皇室典範の下で皇族であり、皇位継承資格を有していた方の御子孫に限定すべきではないか。その範囲の中で、養親となる方と養子となる方の合意がないと話が始まらないわけなので、その意味で特例的なものとならざるを得ないのではないか。皇室典範を一般的に改正するのは避けた方がよいのではないか。

養子となる方の年齢については、御本人の意思を明確にしないといけないので、成人された方に限るべきではないか。また、未婚の方に限るのがよいのではないか。

手続きについては、養親となる方と旧宮家の御子孫でお話し合いをされて、その中から出てくるものについて、皇室会議にかけるという形が適切ではないか。成人された方に限定すれば家庭裁判所の話は必要なくなるが、いずれにしても皇室会議の議を経るという考え方でよいのではないか。

養子縁組をいつまで認めるかという点については、未来永劫続けるというものではなく、例えば悠仁様が即位されるまでの間に限定するべきではないか。

皇位継承資格の有無については、幼少期から皇族であるという自覚を持って過ごされた方に皇位継承資格があるというのが本来の形ではないかと考えられることから、当面は持たないということがよいのではないか。お子様の代から皇位継承資格を持つことを可能にする議論をしたらよいと思うが、女性天皇の議論と同様の時間軸で、今ここで決めるのではなく、将来の議論として考えるべきではないか。

養親となる方の範囲については、いわゆる天皇家に養子を迎えることは認められないのではないか。そうならないよう、親王・内親王・王・女王・寡妃の範囲で考えるべきものではないか。

・ 留意すべき点として3点考えられる。1点目として、皇室の歴史と伝統の重みを尊重するという観点から、養子縁組の対象は皇統に属する男系の男子に限られるのではないか。2点目として、現行法制度との整合を図ることが重要ではないか。3点目として、国民感情に近い形で制度の変更をすることが必要ではないか。具体的には、皇室会議の議を経るというプロセスを踏むことが重要ではないか。どのような方がふさわしいのかについて、現行法制度との整合性や国民感情の観点を踏まえると、皇室会議の議を経るとすることで、あらゆる人が養子の対象となるわけではなく、ふさわしい方が養子になるということを担保すればよいのではないか。

皇位継承資格は持たないということがよいのではないか。皇位継承順位に変更がなければ、国民感情の点では抵抗は小さいのではないか。

・ 養子となる方の年齢については、養子となる意思というものを考えると、成年に達していることとするのがいいのではないか。幼い時からという考えもあると思うが、皇室という日本の象徴となる家が、世界からどう見られるかということも重要ではないか。幼い年齢の子どもを養子とすることは、結果的として強制的に養子にしてしまうという面があるのではないか。養子となる方、養親となる方の両方の意思がきちんと共有できたところで成立する、ということが、国民から見ても納得できる形ではないか。皇室会議の議も経ることも必要だが、まずは、御自身たちの意思の共有というものが必要ではないか。

・ ヒアリングの中では、御家族で養子に入るという意見もあった。未成年のお子様がいらっしゃった場合にどうするかなどの議論が必要だが、この選択肢についても整理する必要があるのではないか。

・ 特例法か一般法かということは別にして、養子縁組の制度を何らかの形で整備するということは、今後も皇室制度を長く続けていくために必要なことではないか。今でも世の中には多様な価値観があり、更に多様化が進んでいく中で、皇室制度を存続させるためには、そのための仕組みを用意することが必要である。養子縁組の制度を整備することには、そういう意味もあるのではないか。

・ 当面の課題の解決のための仕組みであると同時に、それが先例となり、将来同じような課題が生じたときに参照される選択肢となるという視点は大切ではないか。

・ 養子縁組を皇室制度に取り入れる際、養子の範囲を限定しなければ、「皇統に属する男系の男子」というだけでは、皇別摂家をはじめ、あらゆるところから、「私も皇統に属する男系の男子だ」という話が出てくる可能性がある。これを認めれば、政争の種にもなりかねない。そのような意味において、戦後も皇族であった期間のある旧宮家の男系男子孫の方に限定することが必要ではないか。

・ 対象者については、皇室会議の議を経ることとする中で、運用として絞るという考え方もあるのではないか。

・ 現行制度下における皇室会議の役割や、皇族・立法・行政・司法で構成される特別な機関であるということに照らしても、養子縁組に当たって皇室会議の議を経ることは、国民一般に対する納得性を担保するために大切ではないか。

・ 養子縁組については当事者の合意が大前提であるし、皇室会議によるオーソライズも必要だと思う。その上で、議論を拡散させないためにも、対象者は現行憲法・皇室典範の下で皇族であり、皇位継承資格を有していた方の御子孫に限定することが必要ではないか。その意味でも、「皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること」は、より難しい面があるのではないか。

・ 養子縁組の対象となる方の範囲を限定的にすることは、国民の合意を得るという観点からも必要なことではないか。

・ 養子縁組は、後継者のいない宮家に養子に入る、というイメージであるかと思うが、養子となった方のお子様について、皇位継承資格を考える余地はあるのではないか。

・ 養子となる対象を旧11宮家の方に限るとしても、運用上で判断するというやり方も一案としてあるのではないか。対象を限定し過ぎると、養子となるふさわしい方がいらっしゃらなくなるという可能性もあるのではないか。

・ 宮家の存続という観点から、皇室の外部から養子を迎えるということだけでなく、皇室の中で、跡継ぎのいらっしゃらない宮家が内親王・女王を養子として迎えるということも考えられてよいのではないか。

〇 座長から、今日の議論の総括として、次のような発言があった。

・ これまでの議論の積み重ねにより、会議として今後の整理の方向性も見えたように思う。

・ 次回は、事務局においてこの方向性についてペーパーにしていただき、それに基づいて詰めた議論をしていきたい。

・ その方向性の下で、皇族数を確保するための方策について、具体的な論点としてこれまで議論してきたこと、あるいはしてこなかったことも含めて、事務局の目から見て、法制度的なことも含め、まだ詰めるべき事項等があれば、まず一覧にリストアップしていただき、我々の参考に供していただきたい。それについては、全てを会議で議論するかどうかは別にして、さらに詰めるべき、あるいは事務局に調べていただきたいような論点も出てくるのではないかと思う。

〇 第 10 回会議については、7月 26 日(月)16:45 から開催することとなった。

 

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