私たちは、皇室の伝統的な男系継承を確保する「養子案」の早期実現を求める活動を進めています

(議事録全文)『安定的な皇位継承の在り方を検討する有識者会議』(第8回・令和3年6月30日)議事次第・配付資料・議事録

有識者会議(令和3年)

『安定的な皇位継承の在り方を検討する有識者会議』は通称であり、正式名称は『「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議』です。

議事録、資料などは次に示す内閣官房のホームページに掲載されていますが、Webでの閲覧や検索に適さないPDF形式であるため、当HPにてHTML形式に整形しなおしたものを掲載し、メディアによる切り取り・偏向報道を経ていない1次情報を広く国民の皆様に知っていただきたいと存じます。

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議|内閣官房ホームページ
内閣官房,「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議

議事次第

第8回 「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議 議事次第

日時:令和3年6月30日(水)17:30~19:00
場所:総理大臣官邸大会議室

議事

○ 開会
○ 有識者ヒアリングで表明された意見について
○ 討議
○ 閉会

配付資料

資料1  : 有識者ヒアリングで表明された意見について(案)(PDF/422KB)

資料2  : 討議用資料(PDF/185KB)

議事録

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議(第8回)議事の記録

1 日時:

令和3年6月 30 日 17:29~19:03

2 場所:

総理大臣官邸大会議室

3 出席者:

・「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者 会議メンバー

大橋 真由美 上智大学法学部教授
清家 篤   日本私立学校振興・共済事業団理事長 慶應義塾学事顧問
冨田 哲郎  東日本旅客鉄道株式会社取締役会長
中江 有里  女優・作家・歌手
細谷 雄一  慶應義塾大学法学部教授
宮崎 緑   千葉商科大学国際教養学部教授

・政府側出席者

杉田 和博  内閣官房副長官
岩尾 信行  内閣法制次長
山﨑 重孝  内閣府事務次官(皇室典範改正準備室参与)
池田 憲治  宮内庁次長
大西 証史  内閣総務官(皇室典範改正準備室長)
溝口 洋   内閣審議官(皇室典範改正準備室副室長)

4 会議の内容

(1) 有識者ヒアリングで表明された意見について

資料1「有識者ヒアリングで表明された意見について(案)」について、事務局から

・ 前回会議で示された意見を踏まえ、問7中「配偶者や生まれてくる子を皇族とする意見」を更に分類したこと

・ ヒアリング対象者の確認を経て、所要の修正を行ったこと

について説明が行われ、案のとおり公表することを決定した。

(2) 討議

〇 資料2「討議用資料」について事務局から説明が行われ、有識者会議メンバー間で次のような議論があった。

・ 悠仁様の世代における皇族数の問題については、多様な世代や性別の方が悠仁様を支えることが大切ではないか。日本という国を代表し、象徴する大きな家族としての天皇御一家が世代・性別の多様性を有することが大切であり、そのことは数という意味でも然るべき数の確保につながっていくのではないか。
 ヒアリングでも、男系の女性皇族の方に婚姻後も皇室に残っていただくことには前向きな意見が多かった。どういう範囲で身分を保持することとしていくのか、御本人の意思をどうやって確認するのか、お子様や配偶者の取扱いをどう考えるのかなど、各論の課題はあるが、積極的に検討すべき課題ではないか。
 ヒアリングでは、いわゆる旧宮家の方の復帰については、養子縁組によるとの意見が多く、個人の意向をどう考慮するか、どのように人選をするかなどについて検討が必要だが、養子縁組について議論を進めるべきではないか。その際、特例として認めるべきであって、皇室典範そのものを改正する性格のものではないのではないか。
 法律で直接皇族になるという方法については、ヒアリングで憲法との整合性も指摘されたが、人選の在り方も含め、法律で定めるにはなじまないのではないか。

・ 皇位継承については、悠仁親王殿下までは現行の皇位継承順位を尊重し、長い時間軸で考えるべき問題である一方、皇族数の減少への対応については、喫緊に考えるべき問題である。現在の女性皇族の方々の今後を考えると、早い段階で深刻な問題となってくるのではないか。
 ヒアリングの中で、皇族数の減少に対する具体的な対応策としては、(「討議用資料」4ページの)3番目・4番目・5番目の選択肢以外にはなく、この3つに絞って議論を進めるべきではないか。
 3番目と4番目の方策については、制度変更や運用のハードルがそれほど高くない、現実的な方策と言える一方、5番目の方策については、より大きな、様々な課題をクリアしなければならず、国民感情からしてもハードルが高いのではないか。
 3番目・4番目の方策について、制度のチェック機能としては、皇室会議の議を経るということがあるのではないか。また、当事者となる皇族方にも人生設計があり、その御意向を尊重・考慮する必要もあるのではないか。
 これらはどちらも皇族数の拡大に対する抑制要因となり得、3番目・4番目の方策を両方採用しても急激に皇族数が拡大することにはならない、言い換えれば、片方の制度だけでは皇族数を十分確保することに必ずしもつながらないのではないか。
 5番目の方策は、慎重な制度設計が必要でもあり、3番目・4番目の方策によっても十分な皇族数が確保できない場合に検討する事項と考えてもよいのではないか。

・ 皇族数の確保の目的は、皇室会議のメンバーを確保するなど法制度を維持するために必要な皇族を確保するというハード面と、憲法上の活動に加えて国民の目に見える形で活動していただくことや天皇・皇位継承者をサポートするというソフト面とがあると考えられ、このような目的を念頭に置きながら議論していくべきではないか。

・ ヒアリングでもあったように、長く続いてきたものへの尊崇の念ということで、皇室制度に対する国民の支持は必ずしも理屈では割り切れず、伝統を尊重することは重要だが、その時々の国民の感覚からあまりにもかけ離れた技巧的な手法は、支持が得にくいのではないか。

・ 悠仁親王殿下までの皇位継承はゆるがせにしてはいけないが、悠仁親王殿下に男のお子様が生まれれば男系男子による継承がつながるからそれでよいということでは、今までと同じことの繰り返しになってしまうのではないか。女性に対する出産のプレッシャーも変わらないし、男性偏重の価値観が表れているのではないか。
 悠仁親王殿下の世代に皇室の方がどなたもいらっしゃらない状態は避けなければならず、悠仁親王殿下の周りに多様な方がいらっしゃることによって、いろいろなバランスが保たれるのではないか。
 養子制度については、ヒアリングでも積極的な意見が多く、可能性があると感じるが、ふさわしい方をどのようにはかるのか考えなければならないのではないか。これは、女性皇族の方が婚姻後も皇室に残っていただく場合に、配偶者の方やお子様が皇族になるのかどうかという議論にもつながる話ではないか。民間の養子縁組は、個々の了解をもとに行われるが、皇族は特殊な立場なので、個人的なつながりとしての養子縁組があった上で、皇室会議で決める、という2段階で考えることが必要ではないか。

・ 時間軸の問題として、長い目で見る部分と、喫緊の課題として手をつける部分とがあるということには合意があり、皇位継承の問題も、「先送り」ということではなく、どの段階で何について意思決定していくのかという時間軸を明確化できれば、議論も整理され、今存在する安定を損ねずにすむのではないか。
 悠仁様に男のお子様がお生まれになれば議論は必要とならず、女のお子様しかいらっしゃらないときに初めて女性天皇の議論となり、その女性天皇の次は、女系のお子様が天皇になるのかどうかということで、女系に皇位継承資格を拡大するのかどうかという議論になるということではないか。
 もしお子様が全くいらっしゃらない場合は、養子という手段をとらざるを得ず、その養子は、赤ちゃんの時から国民全体が見守る中で成長していくというプロセスが象徴性を裏付けていくのではないか。どんな方であれ、成人した方が養子になり、いきなり天皇になるというのは納得が得られないので、これから生まれるお子様を生まれた時から国民全員が温かく見守っていくという形で養子になれるような候補がいらっしゃるかどうか、それを見極める段階があるのではないか。
 女性皇族が婚姻後も皇室に残る方策も含め、皇族数の確保については、将来の皇位継承も見据えて、どういう体制が取れるかを考えることも重要ではないか。

・ 現在、悠仁親王殿下以外の未婚の皇族は、女性皇族6方しかおられず、宮家も4宮家しかないという事実を前提に考えると、悠仁親王殿下が皇位を継承された時に、その周りに皇族がどなたもいらっしゃらなくなる可能性が高い。これは、皇位継承の在り方に関する意見がどうであれ、認めなければいけないことであり、皇族数を確保しなければいけないということについて国民の理解は得られるのではないか。
 皇族数確保のための選択肢として何があるべきかの議論は早めにすべきであるが、女性天皇の問題や皇族となった養子の方に生まれたお子様の皇位継承資格の問題などは、皇族数の確保が図られた後、その次の段階で考えるべき事柄ではないか。
 養子については、お1人の個人ということも、御家族でという場合も考えられると思うが、養子になられる側の御意思だけではなく、お迎えする側の御意思も考慮しなければならないのではないか。

・ 養子に来られる方と養子として迎える側の双方の意思の確認は重要だが、旧宮家の方々がどういう方で、どういう思いでいらっしゃるかについては、皇族の皆様の方がよく御存じで、皇族の皆様も皇族数減少に対する問題意識をお持ちなのではないか。
 制度として養子縁組ができることとなれば、当事者として積極的にお考えになっていただく可能性もあるのではないか。

・ 皇位継承権の問題に結論を出す時間軸と、皇位継承権を持たない皇族の資格について考える時間軸は、分けて考えるべきであり、後者が喫緊の課題であり、制度改正の準備は急がないといけないのではないか。
 婚姻後も皇族の身分を保持する女性皇族が皇位継承権を持つのかという判断は、もう少し後でも良いのではないか。養子縁組で皇族の資格を持たれた方御自身は、国民の納得感といった観点から、いきなり皇位継承権を持つのではなく、養子となった方のお子様の代から皇位継承権を持つといった考え方があるのではないか。

・ 養子制度についてどのような制度設計とするかは、皇室と国民との信頼関係の観点からも重要であり、皇族が養子を迎えることを認めた上で皇室会議の議を経ることとする制度とし、皇室会議の運用の中で皇族の養子としてふさわしい対象者を考えていくこととすることも考えられるのではないか。

・ 皇位継承の問題も、悠仁親王殿下にお子様が生まれてくる時点を考えると、それほど時間軸を長く取れる問題ではないのではないか。お子様が生まれる段階で、男系男子を続けるのか、男系女子までは一代限りで認めるのかについてまだ決まっていないのでは、お子様の人生設計の観点からも望ましいことではないのではないか。
 ヒアリングにおいても一代限りの男系女子の皇位継承については比較的広く理解があったという印象であり、過去に女性天皇がおられたことを考えれば、伝統に背くものでもないのではないか。一方、女系については、現段階でまだ国民の幅広いコンセンサスが得られていないのではないか。
 この会議で、これらについて結論を出すことがふさわしいとは考えていないが、時間軸の中で、どの時点で何を検討していくべきか、ということを整理して考えていく必要があるのではないか。何が何でも男子が生まれないと天皇制は継続できないという精神的なプレッシャーを避けるということにもつながってくるのではないか。

・ 養子縁組等により皇族となった方について、血統がつながっているから皇位継承権を持つという考え方もあるが、これは将来的な問題として考え、現段階では、皇位継承権には直結しない制度とするということで考えていくべきではないか。

・ 女性皇族に婚姻後も皇室に残っていただくことや男系につながる方々に養子縁組をしていただいて宮家を継いでいただくことにより皇族数を確保することは、出産のプレッシャーから解放されるという面、天皇の身近に相談相手の方がいらっしゃるという面、様々な活動をなさってくださる方がいて将来天皇になられる方の御負担が軽くなるという面など、国家や国民、また天皇を中心とする皇室にとって良い影響があるという理解ができるのではないか。

・ 皇室における女性の皇族方の役割は大きく、現在も天皇皇后両陛下、男女の皇族方が国民にとって安心できる皇室像を作っておられるのではないか。悠仁様の御代においても、女性を含めた皇族方が悠仁様を支えていらっしゃる姿が、皇室の理想的な姿なのではないか。女性皇族の皇位継承権についてはこの先の議論とすべきだが、多様性のある皇室を作るきっかけは、早めに用意するようにすべきではないか。
 旧宮家の方の中の然るべき方に御本人の御意向も確認し、受け入れる宮家の御意向も踏まえた上で人選を進めるなど、悠仁親王殿下の相談相手として同世代・同性の皇族を確保するための準備は、早めに進めていくべきではないか。

・ ヒアリングでは、女性や女系の方が皇位継承権を持つことや旧宮家の系統の方が皇族になられ皇位継承権を持つことについて、国民が違和感を持ち、納得しないのではないか、という御意見があった。もちろん皇室は国民から親しまれ尊敬される存在であることは大切だが、同時に、世襲ということは、然るべきお血筋に生まれた方が即位し、あるいは皇族となるということであり、国民から見ていい人だから、納得できるからと皇族になっていただくというものではないということでもある。この方がふさわしいとかふさわしくないとかということになれば、国論を二分することになってしまう。国民の気持ちと制度の在り方の関係について、考えていく必要があるのではないか。

・ 象徴としての天皇という存在を考えると、やはり国民との相互作用の上でなければ成り立たないものであり、現行憲法制定までは主権、統治機能を持っていたわけだが、それと違う形で尊敬・敬愛を集めていくためには、国民の感情がどうでもいいというわけにはいかないのではないか。生まれたときからずっと見守ってきたということが、敬愛の念などにつながるということではないか。

・ 上皇陛下は、国民との信頼関係を築き上げられてきたが、それは最初からあったわけではなく、築かれてきたものである。国民は、お若い頃から見守り、天皇陛下でいらした時代を見続けてきて、敬愛の念を抱き、今も持ち続けているということではないか。それを考えると、国民がお人柄を見定めるというような話ではなく、多くの国民に理解される、敬愛されるということを皇族の方々も意識されながら活動され、そのような活動を通じ、国民との関係が長い時間をかけて築かれるということではないか。どんな方であれ、最初から国民の大きな支持を得るということは難しいのではないか。

・ 今後制度を改めた場合に、その結果として皇室への国民の理解と支持が損なわれるということはあってはならず、そうならないためのチェック機能が必要ではないか。皇室会議は、内閣総理大臣が議長であって、衆参両議院の議長・副議長がメンバーになっており、これは国民の考えが、一定程度総理大臣や衆参両議院の議長等の意向を通じて反映される場であるといえるのではないか。皇室について直接的な世論調査や国民投票で決めるというのではなく、このような間接的な形で国民の総意というものが反映される、言い換えれば国民の理解や支持が得られないようなことに対してはチェック機能が働くといえるのではないか。加えて、皇室の方々や最高裁の判事も構成員になっており、養子縁組や女性皇族の身分保持といったものを考えたときには、皇室会議がこれらに対応するということが一層重要であると考えられるのではないか。

・ 世襲の意味との関係で、皇族の権威・正統性が何から生まれてきているのかを考えると、皇族の血のつながりを日本人の中で受け止めてきた歴史がある。1つの血のつながりをこれからも大切にするという考え方は国民の中にあって、それを根拠に皇室の方に対する尊崇の念を持ち続けることのできる土壌が今の日本にはあり、血筋というものを重視することが必要なことではないか。
 ただし、血筋だけではなく、皇室・皇族としての品格をどうやって備えていくかということも重要であり、それは長年の御努力によるものであるが、それを支えアドバイスする周りの方々の力も重要である。そういう時間の中で、血筋だけではなく、皇族としての正統性、皇族として素晴らしい方だという国民の感情を生み出してきている歴史があり、それはこれからも続いていくのではないか。

〇 座長から、今日の議論の総括として、次のような発言があった。

・ 前回までの議論をもう一度確認すると、今上陛下、皇嗣殿下、そして悠仁親王殿下への皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないということは、改めて確認された。それと同時に、悠仁親王殿下が皇位を継承されたときに、現行の制度では他に皇族がいらっしゃらなくなってしまう可能性が高いということで、皇位継承の問題とまずは切り離して、皇族数の確保というのが喫緊の課題であるということも、今回も改めて確認された。現在、悠仁親王殿下以外の未婚の皇族は6方全員が女性であり、宮家も4宮家しかないという事実は、重く受け止めなければいけない。このままでは悠仁様の御代に天皇を支える皇族がいらっしゃらなくなってしまうことを何とかしなくてはいけない、ということが、改めて確認された。

・ 今回、特に皇族の数が減ることを考えるに当たり、皇族の役割のうち、皇室会議の議員や予備議員、摂政というような法制度上求められている役割と、様々な活動をされるという両面で、悠仁親王殿下の世代においても、十分な数の皇族の方にいていただく必要があるということについて、改めて確認がなされた。

・ そのための具体的な方策として、もちろん法律により直接旧宮家の方々に皇族に戻っていただくという方策もあるけれども、やはり大きくは、内親王・女王の婚姻後も皇族の身分を保持するようなことを可能にするという仕組み、そしてもう1つ、皇族の養子縁組を可能とすることで皇統に属する男系の男子の方々に養子になっていただくということ、この2つの案を中心に検討すべきということだったのではないか。もちろんどちらの場合も、対象となる方々の御意思をどのように考えるかということなどに留意することも重要である。

・ その他様々な御議論をいただいたが、まとめるとこのようなことになるかと思うので、このようなことを前提に、次回更に議論を進めてまいりたい。

(3) その他

〇 第9回会議においては、議論が更に深まるよう、事務局において資料を準備した上で、更に議論を進めていくことになった。

〇 第9回会議については、7月9日(金)15:30 から開催することとなった。

 

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