私たちは、皇室の伝統的な男系継承を確保する「養子案」の早期実現を求める活動を進めています

(議事録全文)『安定的な皇位継承の在り方を検討する有識者会議』(第7回・令和3年6月16日)議事次第・配付資料・議事録

有識者会議(令和3年)

『安定的な皇位継承の在り方を検討する有識者会議』は通称であり、正式名称は『「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議』です。

議事録、資料などは次に示す内閣官房のホームページに掲載されていますが、Webでの閲覧や検索に適さないPDF形式であるため、当HPにてHTML形式に整形しなおしたものを掲載し、メディアによる切り取り・偏向報道を経ていない1次情報を広く国民の皆様に知っていただきたいと存じます。

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議|内閣官房ホームページ
内閣官房,「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議

議事次第

第7回 「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議 議事次第

日時:令和3年6月16日(水)17:30~19:00
場所:総理大臣官邸大会議室

議事

○ 開会
○ 有識者ヒアリングで表明された意見について
○ 自由討議
○ 閉会

配付資料

資料  : 有識者ヒアリングで表明された意見について(案)
※ 所要の確認を経るまでは非公表とすることとされました。

参考資料: ヒアリング対象者一覧(PDF/193KB)

議事録

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議(第7回)議事の記録

1 日時:

令和3年6月 16 日 17:30~19:00

2 場所:

総理大臣官邸大会議室

3 出席者:

・「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者 会議メンバー

大橋 真由美 上智大学法学部教授
清家 篤   日本私立学校振興・共済事業団理事長 慶應義塾学事顧問
冨田 哲郎  東日本旅客鉄道株式会社取締役会長
中江 有里  女優・作家・歌手
細谷 雄一  慶應義塾大学法学部教授
宮崎 緑   千葉商科大学国際教養学部教授

・政府側出席者

杉田 和博  内閣官房副長官
岩尾 信行  内閣法制次長
山﨑 重孝  内閣府事務次官(皇室典範改正準備室参与)
池田 憲治  宮内庁次長
大西 証史  内閣総務官(皇室典範改正準備室長)
溝口 洋   内閣審議官(皇室典範改正準備室副室長)

4 会議の内容

(1) 有識者ヒアリングで表明された意見について

資料「有識者ヒアリングで表明された意見について(案)」について、事務局から説明が行われた。

〇 これに関し、次のような意見があった。

・ 内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することに関しては、配偶者や生まれてくる子を皇族とするかどうかという論点がある。ヒアリングにおいて述べられた皇族とするべきであるという意見の中には、内親王・女王の子が皇位継承権を持つことを前提としたものと、皇位継承権を持つことを前提としないものがあるのではないか。今後の議論のために、この両者を分けて整理することはできないか。

・ この資料を公開するに当たっては、ヒアリング対象者の確認を経た方が良いのではないか。

〇 上記の意見を踏まえた資料の修正等については、座長に一任することとされた。また、所要の確認を経た上で資料を確定・公表することとされた。

(2) 自由討議

〇 有識者会議メンバーから次のような発言があった。

・ ヒアリングでは、幅広い年代の方から、幅広い考えを伺うことができたと思う。多様な価値観に基づく多様な意見があったが、そのような中にも、何点か共通して存在する要素があったと思う。
 一つは、長く続いてきた伝統への敬意である。ある伝統が長年続いてきたという事実は確かに存在し、それは尊重する必要があるのではないか。ヒアリングでは、長く続いてきた伝統を現代的価値観に基づいて変更することには畏れを感じる、という意見があったが、長く続いてきた伝統は一度壊すと二度と元に戻すことはできないということを踏まえ今後の在り方を考えていくべきだという意味だと理解した。
 また、我が国における天皇制の存在意義を考えるに当たっての指針になり得る意見として、天皇は早くから我が国の権威としての存在になり、その時々の権力とは一定の距離を保ってきた、というものがあった。だからこそ、天皇制度は長きにわたり安定的に存在し、権力とは離れたところで国民の心のよりどころになってきたのではないか。
 一方で、このような意義を有する天皇制を今後安定的に維持していくに当たって、現行の制度のままでは皇族数の減少は避けることができず、どこかの時点で何らかの手を打つ必要があるという問題意識も共通してみられたように思う。
ヒアリングでは、皇族として生まれた運命という話や、出生に関する様々なプレッシャーという話があったが、皇室制度を支える様々な方々のお気持ちやお立場にも思いを致しながら、考えられる選択肢を予断なく考えていきたい。

・ ヒアリングを通じて感じたことだが、男系重視の皇室制度は、日本人独特の家族観や人生観に適合しているという面もあるのではないか。また、長年の伝統の重みに加え、戦後から現在に至るまでの間、日本という国がここまで復興し、成長してきた過程において、昭和天皇、上皇陛下及び今上陛下、また皇后陛下も含め、苦楽を共にしてきたという、信頼感や親愛の気持ちが国民の中に共通して育まれており、これは尊重すべき大事なものではないか。今、国民の中で、今の皇室制度に大きな変化を求めているということではないのではないか。やはり、現行の制度を基本に考えていくべきではないか。
 このようなことを前提として申し上げたいが、まずは、男系男子により皇位が継承されてきた伝統を尊重するとともに、現在定まっている皇位継承順位を維持することは、明確にするべきではないか。その上で、悠仁親王殿下が皇位を継承されたときのことを念頭に置くと、皇室制度そのものの安定のため、あるいは、国民から尊敬、崇拝される、威厳のある皇室を維持していくためには、適切な準備が必要ではないか。
具体的には、一定数の男性・女性の皇族、また、多様な世代・年齢の皇族を確保し、
天皇を支えていくことのできる体制を今から準備するべきである。
 細目については今後検討していくことが必要だが、具体的な方法としては、ヒアリングで様々な方から話があったとおり、旧宮家の子孫の方を皇族にすることと、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することの2つが検討すべきテーマになるのではないか。
 旧宮家の子孫の方を皇族とすることについては、どういった方を迎えるのかや皇室会議の関与、御本人の意思の確認など様々な手続きが必要だと思うが、一つの方法として検討すべきである。この際に大事なことは、一般人として過ごしている御本人の意思を尊重することと、国民の中でこういう方々が皇族としてこれから活動されることについての納得感や親近感を得るための時間が必要だということである。特に、いきなり皇位継承権を与えるのかという議論が必要であると思う。
 また、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することについては、どのような形で、どの範囲で行うのか、御本人の意思をどのように確認していくのか、配偶者や生まれてくる子の扱いをどうするのかなど、検討すべき課題があるが、早急に検討すべきである。ただし、女系の皇族、女系天皇の問題については、やはり、様々な方の御意見を聞いても、まだまだ世論の成熟が必要であり、現時点では避けるべきであろうと思う。結論を急げば、世論を分断することにもつながり、政争の対象となるおそれもある。
 この会議では、議論の基本的な方向を集約して、特に、皇位継承順位を尊重することと、将来に備えて皇族数を確保する具体策として、旧宮家の子孫の方を皇族にすることと、内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することについての検討を開始するとの方向を示し、細部の要検討課題については、さらに今後の議論に委ねていくことが現時点で適切な方向ではないかと考える。

・ 21名の方々から意見を伺う機会を得て、会議が始まる当初とは全く違う考えの中にいる。自分には、皇室は、生まれる前から存在するものであり、これからも自然にあり続けるもの、という意識があった。しかし、その気持ちは、上皇陛下が天皇であられたときに、国民に退位について語られた際に変わった。常にあり続けると思っていた皇室は、天皇や皇族の方々がいらっしゃることで成り立っており、大変な重圧の下にあったのだということを意識させられた。今回のヒアリングを経て感じるのは、憲法の冒頭に掲げられた日本国の象徴という重要な存在である天皇や皇族が危機的な状況で、何らかの知恵や方向性をお示しすることが必要であれば、差し出がましくとも、その役割を果たさなければならない、ということである。
 一つ一つのことにこうするべきとは軽々に申し上げることはできないが、可能性を広げていく、ということは提案したいと思う。日本国憲法や皇室典範は一種の決まりを示しているわけだが、現在、こうでなければならないという縛りが、人間的なものからかけ離れているようにも感じる。天皇及び皇族は一般の国民とは違うお立場ではあり、ここにいる誰も皇族になる可能性はない。そのことが、自分事として捉えられない一因になっており、皇室・皇族が国民にとって遠い存在になる原因の一つではないか。
 しかし、上皇陛下のメッセージに国民が大いなる共感を抱き、退位を後押しし、この会議にもつながっていることを思えば、もっと皇族の皆様の気持ちに寄り添うことが大事であると思う。どのようなことを決めたとしても、あるいはすぐに効果が出ると思われる方針を出したとしても、皇族の方々の個人の思いに背いたものでは、うまくいくとは思えない。皇族に生まれることは個人の意思ではなく、運命である。その時点で、人生は一定の枠の中にあることになる。皇位継承者には将来が定められている。女性皇族は結婚と共に皇室を離れ、一国民となるが、同じ家族であってもお立場が変わるということは、民間では考えられないような距離感が家族の中に生まれるということでもあると思う。女性皇族方が御自身のお立場をどのように受け止めていらっしゃるのか、想像することは非常に難しいが、男性皇族と同様にそれぞれのお覚悟やお考えがあることと思う。
 伝統とその時々の価値観をどう両立していくかは大きな課題であり、長期的なスパンで考えなければならない。ヒアリングの中では、これまで皇室はあらゆる危機的な状況に知恵を絞りながらつなげられてきたという意見があった。それを現代に引き継ぎ、将来に向けていい形でつないでいくためには、縛ることではなく、可能性を広げ、風通しを良くするということが必要ではないか。

・ ヒアリングを終え、これまで、静かな環境で議論を進め、政争の対象にしないようにするという問題意識については、相当程度良い形で進めてくることができたのではないかと思う。有識者会議の役割とこれから行うべき作業の確認をしたい。
 有識者会議は、附帯決議の一に示された課題について、様々な専門的な知見を有する人々の意見を踏まえ議論し整理を行うという趣旨で開催されている。これまでヒアリングで21人の方々から意見を伺い、質疑応答という形で議論も行ってきた。
 これからの作業は、おそらくこの「整理」に当たるものになると思うが、附帯決議では、「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等」について議論することとされており、先延ばしにすることはできない重要な課題であることを前提にして、皇族方の御事情を踏まえ、全体としての整合性が取れるように検討していくものとされている。そして、これを政府が国会に報告し、国会すなわち立法府の総意を取りまとめることとなっており、その政府から我々は御依頼いただいているということである。
 ヒアリングを終えて、この附帯決議に示された課題は、3つに整理できるのではないかと考える。すなわち、1つ目が皇位継承、2つ目が婚姻後の女性皇族の身分の保持、3つ目が養子縁組を可能とするような法制度の改正を含めた旧宮家の方々についての対応である。
 この3つの課題について、検討すべき重要な点として、時間軸と優先事項があると思う。比較的長い時間軸で考慮すべきことと、喫緊に制度の改正等を行うべきことを分けて考える必要がある。特に、皇位継承については、現在の順位を尊重するということには幅広い理解が得られるのではないかと思う。女性天皇・女系天皇については、多くの専門家の方々は、現段階で早急に結論を出すべきとはお考えになっていなかったのではないか、というのが私の印象である。この点については、現段階で、会議として何らかの意見表明をする必要があるとは考えていない。将来において、現行の制度に基づく安定的な皇位継承が困難であると判断された段階において、現行の制度の変更を含めた必要な対応が行われることを希望する、というのが現段階で会議として示すことができることなのではないか。
 2点目の婚姻後の女性皇族の身分保持については、一代限り、これは法制度としてどのように対応するかということについては、立法府が詳細にわたって議論すべきことであると思うが、一定の条件・制約の下で皇族の身分を保持するということについて、前向きな意見が多かったというのが印象である。この点について、比較的多くの方の緩やかな賛成があったということは、論点整理として提示することはできるのではないか。
 3点目の養子縁組を含めた皇統に属する男系の男子の方々が皇族となることについても、比較的前向きな意見が多くあったのではないか。
意見が分かれているところもあるが、この2点目と3点目が、比較的前向きに検討可能な施策として整理できるのではないか。
 附帯決議に示された課題については、国民の間で意見が分かれている部分もあるが、その中でも緩やかな国民の総意、あるいは意見の集約を図っていくことは可能なのではないか。そのためには、2つの点に留意する必要がある。1点目は、長い日本における天皇・皇室の伝統と文化というものを尊重するということ。これを前提にした論点の整理は不可欠であるということについて、改めて認識を強めた。2点目は、長い歴史の中で何度も皇位継承の危機に直面し、英知を絞って柔軟にその危機を乗り越えてきたように、今回も、皇位継承の危機が将来訪れたときには様々な社会環境の変化に応じた柔軟な対応を提案するということである。この2つの相反する要素を両方とも考慮に入れた対応が必要ではないか。

・ ヒアリング対象者の中にも、ついこの間までは全然知らなかったけれども、このお話が来て、改めて勉強したらそうだったのかと分かった、というような御意見もあったように、女性天皇と女系天皇の違いなどの事実関係に対する正しい理解が世の中でされていないのではないか。事実関係に基づかず、イメージで議論が行われているような危うさを感じる。多くの方々の理解を得ながら何かを決めていくためには、その前提として、正しい理解を促進することが必要ではないか。
 また、安定的な皇位継承を確保するというのは目的だが、皇族数の減少への対応というのは手段であり、同じ次元ではないのではないか。目的と手段の関係性を整理して議論しないと、手段が暴走して目的を見失うおそれがあることを危惧する。ヒアリングの結果は飽くまで素材として、会議で議論していくことが必要である。
 さらに、議論をするにしても答えを出すにしても、長期的なスパンで考える部分と、目の前の解決すべき問題として考える部分とを整理することが重要である。例えば、ヒアリングでは、新しい制度は皇室典範が改正された後に生まれた方から適用するといった意見もあった。そうした考え方も参考に、あまり急ぎすぎず、しかし、いざというときには慌てないという、その時間軸をどのように設定していくかというのは、大変重要なポイントではないか。

・ 時間軸という観点は重要である。関連して、皇室典範を改正して対応するのか、特例的に今回限りのものとして対応するのか、これは区別して考えた方が良いと思う。例えば、旧宮家の子孫の方の養子縁組については、何人もの有識者の方がおっしゃったとおり、個人の生活設計や親子関係そのものに関わることであり、非常に特異なケースになると思う。一般的に、現在皇室典範で禁止されている養子を解禁するというよりは、今の状況を踏まえてどうすべきかという議論にしておかないといけないと思う。典範そのものを本質的に変えるのか、今回の状況の中で対応策を考えるかという、その2つの軸は明確に意識する必要があると思う。

・ 危機的状況に備えるため、準備をしておかなければ、いざというときにうまく対応できない。制度的な対応と、特例的な対応を分けて考えるという御指摘もあったが、特例も一度作れば前例となり、前例があればそこから先に進みやすくなるという可能性もあるし、これまでのものが壊れてしまうという危惧を抱かれる方もいらっしゃるかもしれない。いずれにしても、この会議で議論していることが、皇族の方々の人生にとって大きな壁のようなものになってはならず、より良い形で将来につないでいける方向を示したいといった、そのような気持ちだけでも表明していった方が良いのではないかと思う。

〇 座長から、今日の議論の総括として、次のような発言があった。

・ ヒアリングを通じ、多くの方からいろいろな考え方を伺うことのできたことは、大変ありがたかった。

・ 座長としてこれからの議論を進める前提となる考え方を申し上げたい。ヒアリングにおいては、安定的な皇位継承策に関し、皇位継承資格の拡大を示唆する意見を表明した方も含め、現在定められている皇位継承順位の下での皇位継承の流れをゆるがせにはできないと考えている方がほとんどであり、本日の議論で、当会議としても、そのような考え方であるということを確認できたと思う。

・ 他方で、皇族数の減少に関しては、ヒアリングにおいて、多くの方が皇族数の減少への危機感を表明された。皇位継承の問題や、例えば皇室会議の議員など皇族の法律上の役割、その他の様々な活動との関係で、何らかの対応が必要と考えている方がほとんどであり、本日の議論で皆様から伺った御意見でも、皇族数を確保していく必要があるという共通認識であったと思う。

・ 今後の議論は、現在定められている皇位継承順位の下での皇位継承の流れを前提として、皇族数の確保のための方策を検討していくこととしたい。目的と手段という御指摘にも関連するが、安定的な皇位継承を確保するために何か方策を考えるということが、既に確保されている安定的な皇位継承を揺るがしては本末転倒であると思う。その意味で、まずは現在の皇位継承の流れを前提とし、その上で皇族数の確保のための方策を検討していきたい。その具体的な在り方については、ヒアリングでもいろいろな角度から御意見を承ったので、それをもとに事務局において資料を整理してもらい、検討していくこととしたい。

(3) その他

〇 第8回会議においては、本日の議論内容も踏まえ、議論の整理に向けた資料を事務局で調えた上で、更に議論を進めていくこととなった。

〇 第8回会議については、6月 30 日(水)17:30 から開催することとなった。

 

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