私たちは、皇室の伝統的な男系継承を確保する「養子案」の早期実現を求める活動を進めています

(議事録全文)天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応について(衆議院・参議院)

有識者会議(令和3年)
当議事録は公式なものが衆議院・参議院のホームページ上で公開されておりますが、スマートフォン・タブレット等での閲覧に適さない縦書き3段組のPDF形式であるため、当ホームページでHTML形式に整形しなおしたものを掲載し、メディアによる切り取り・偏向報道を経ていない1次情報として、広く国民の皆様に知っていただきたいと存じます。

衆議院ホームページより転載

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応について

令和4年1月12日、両議院正副議長が、岸田内閣総理大臣から、両議院でそれぞれ議決した「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に基づく政府における検討結果の報告を受けました。

上記の附帯決議においては、政府から報告を受けた場合、国会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について、「立法府の総意」が取りまとめられるよう検討を行うものとされております。

これを受けて、立法府として、以下の会議等を開催しています。

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告(令和4年1月18日)

出席者、会議の概要

出席者、会議の概要(PDF:56KB)

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告について

1. 日時

令和 4 年 1 月 18 日(火)14:02~14:52

2. 場所

衆議院議長公邸

3. 出席者

衆議院議長   細田 博之 君
参議院議長   山東 昭子 君
衆議院副議長  海江田 万里 君
参議院副議長  小川 敏夫 君

<各政党・各会派>

(自由民主党)

衆議院議員   茂木 敏充 君
衆議院議員   梶山 弘志 君
参議院議員   野上 浩太郎 君
参議院議員   有村 治子 君

(立憲民主党)
衆議院議員   野田 佳彦 君
衆議院議員   馬淵 澄夫 君
参議院議員   森 ゆうこ 君
参議院議員   長浜 博行 君

(公明党)
衆議院議員   石井 啓一 君
衆議院議員   北側 一雄 君
参議院議員   西田 実仁 君
参議院議員   谷合 正明 君

(日本維新の会)
衆議院議員   馬場 伸幸 君
衆議院議員   藤田 文武 君
参議院議員   浅田 均 君
参議院議員   東 徹 君

(国民民主党)
衆議院議員   玉木 雄一郎 君
衆議院議員   古川 元久 君
参議院議員   足立 信也 君
参議院議員   大塚 耕平 君

(日本共産党)
衆議院議員   穀田 恵二 君
衆議院議員   塩川 鉄也 君
参議院議員   小池 晃 君
参議院議員   田村 智子 君

(れいわ新選組)
衆議院議員   たがや 亮 君

(有志の会)
衆議院議員   緒方 林太郎 君

(社会民主党)
参議院議員   福島 みずほ 君

(沖縄の風)
参議院議員   伊波 洋一 君

(碧水会)
参議院議員   嘉田 由紀子 君

(みんなの党)
参議院議員   渡辺 喜美 君

<政 府>
内閣官房長官           松野 博一 君
内閣官房皇室典範改正準備室長   大西 証史 君
内閣官房皇室典範改正準備室副室長 溝口 洋 君

4.会議の概要

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に基づく政府にお
ける検討結果について、松野内閣官房長官及び大西内閣官房皇室典範改正準備室
長から説明を聴取した後、質疑を行った。

議事録

議事録(PDF:255KB)

午後二時二分開始

○衆議院議長(細田博之君)本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。マイクの関係で、かけたまま御挨拶させていただきます。

去る十二日、内閣総理大臣より、天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づき政府において検討した結果について、両院議長が両副議長も立会いの下で報告を受けました。

今後、国会として検討を行い、立法府としての総意を取りまとめる必要がありますが、まずは、本日、各党各会派を代表する方々にお集まりいただき、政府から検討結果に関する説明を聴取する機会を設けることといたしました。

本日の政府からの説明をお聞きいただいた上で、政府の検討結果について、各党各会派において御議論いただきたいと存じます。皇室の在り方は国家の基本に関わる重要な事柄でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、山東参議院議長からも御発言をお願いします。

○参議院議長(山東昭子君)各党各会派の皆様方、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

この問題につきましては、我が国の在り方の基本に関わる問題であり、また多くの国民の重大な関心事でもございます。そのために、真摯に、かつ慎重に、丁寧に皆様方に御議論をいただきとう存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○衆議院議長(細田博之君)ここで、本日の議事録の扱いについて、事務方から説明させます。

○衆議院事務次長(築山信彦君)衆議院の事務次長でございます。

先般の衆参両院の正副議長打合会におきまして、議事録の作成、公表につきましては個別の会合ごとに判断をしていくこととなりましたが、本日の会合につきましては、速記を付して議事録を作成し、速やかに公表することで合意をされましたので、本日午後七時をめどに、速記録を衆参それぞれの議員用イントラに掲載するとともに衆参それぞれの記者クラブに配付することとし、また、明後日二十日に、衆参それぞれのホームページに議事録を掲載する予定になっております。どうぞよろしくお願いいたします。

○衆議院議長(細田博之君)それでは、これより政府から説明を聴取いたします。
まず、松野官房長官から説明をお願いいたします。

○内閣官房長官(松野博一君)内閣官房長官でございます。本日は、このような御説明の機会をいただき、ありがとうございます。

平成二十九年、安倍内閣のときに、衆議院におかれては議院運営委員会、参議院におかれては天皇の退位等に関する皇室典範特例法案特別委員会で、天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議をいただきました。

その附帯決議の一で示された課題について、昨年三月、菅内閣において、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議が清家篤元慶応義塾塾長を座長として開始されました。以来、会議では、二十一人の各界の専門家などの御意見をお聞きしながら、十三回にわたり大変丁寧な議論が積み重ねられ、その結果として、今般、お手元の報告が取りまとめられました。

政府としては、これを尊重することとし、先日、岸田総理より、衆参両議院の議長、副議長に御報告申し上げたところでございます。国会における御議論に資するものとなれば幸いであります。

詳細は大西内閣官房皇室典範改正準備室長から御説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

○衆議院議長(細田博之君)ありがとうございました。次いで、大西内閣官房皇室典範改正準備室長から説明をお願いします。

○内閣官房皇室典範改正準備室長(大西証史君)内閣官房で皇室典範改正準備室長を拝命しております大西でございます。どうぞよろしくお願いいたします。着席にて御説明させていただきます。お許しください。

有識者会議の事務局を務めさせていただいておりましたので、私の方から、有識者会議報告の内容につきまして御説明を差し上げたいと思います。

お手元に資料を二点お届けしてございます。報告書本体、十二月二十二日付のものと、それの概要、三ページのものでございます。この二点に即しまして御報告、御説明を差し上げたいと思います。

まず、報告書の本体をお開きいただければと存じます。

一枚おめくりいただきますと、目次になってございます。全体の構成がこちらで御覧いただくことができます。更にもう一枚おめくりいただきまして、「はじめに」でございます。これが一ページから二ページにかけてございまして、有識者会議設置の趣旨などが述べられております。三ページにおきましては、現行の皇位継承や皇室制度につきましての、例えば憲法及び皇室典範の規定などにつきまして、基本的な事柄が説明をされております。

いわゆる男系、女系といった用語の解説でございますとか、宮家という言葉は独立して一家を成す皇族に対する呼称であり、法律に基づく制度ではないといったことも述べられてございます。また、今上陛下は第百二十六代の天皇であらせられますが、これまで歴代の皇位は、例外なく男系で継承されてきているといったことも述べられているところでございます。

四ページ、五ページにおきましては、議論の経緯、経過が説明されております。昨年の三月二十三日に、菅前総理、加藤官房長官出席の下、この有識者会議はスタートいたしました。

第二回会議から第六回会議まで五回にわたりまして、二十一名の方々からヒアリングが実施されました。第七回から討議に入りまして、七月の第十回の会議で、中間的な取りまとめでございます「今後の整理の方向性について」が取りまとめられたところでございます。

その後、事務局における調査研究を経まして、岸田総理、松野官房長官御出席の下、十一月に会議を再開いたしました。十二月二十二日の第十三回会議で報告が取りまとめられたということでございます。

ヒアリングにおきます聴取項目は、三十六ページの資料六に掲載しております十項目でございます。また、ヒアリングにお招きした方々の一覧は、次の三十七ページに資料七として掲載させていただいております。

報告書の六ページ以降につきましては、中身にわたるところでございますが、お手元にお届けしております三ページの概要の方にポイントを整理させていただいておりますので、以後の説明は、この概要をベースに説明させていただきながら、適宜、報告書本体の方を御覧いただくこととさせていただけましたらと存じます。

まず、「皇位継承と皇族数の減少についての基本的な考え方」でございますが、「皇位継承の歴史や伝統は、大変重いもの。」と会議として改めて認識を深めた、それを前提にいたしましてございます。

報告書本体の六ページ、中ほどを御覧いただければと存じます。ここから七ページにかけましてでございますが、

ヒアリングの中では、皇位継承のルールについて悠仁親王殿下までは変えるべきでないとの意見がほとんどを占め、現時点において直ちに変更すべきとの意見は一つのみでありました。

皇位の継承という国家の基本に関わる事柄については、制度的な安定性が極めて重要であります。また、今に至る皇位継承の歴史を振り返るとき、次世代の皇位継承者がいらっしゃる中でその仕組みに大きな変更を加えることには、十分慎重でなければなりません。現行制度の下で歩まれてきたそれぞれの皇族方のこれまでの人生も重く受け止めなければなりません。

会議としては、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、次世代の皇位継承資格者として悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、この皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないということで一致しました。

悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承について具体的に議論するには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させるとも考えられます。

以上を踏まえると、悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承については、将来において悠仁親王殿下の御年齢や御結婚等をめぐる状況を踏まえた上で議論を深めていくべきではないかと考えます。

と、皇位継承についての有識者会議としての考え方が述べられているわけでございます。

概要の方、三ページのものに戻らせていただきまして、一ページ目の下の方の丸二つでございますけれども、一方、「悠仁親王殿下以外の未婚の皇族が全員女性であることを踏まえると、悠仁親王殿下が皇位を継承されたときには、現行制度の下では、悠仁親王殿下の他には皇族がいらっしゃらなくなることが考えられる。」また、二つ目の丸ですが、「皇族は、摂政、国事行為の臨時代行、皇室会議の議員といった法制度上の役割のほか、様々な公的活動などを担っておられる。」この具体例につきましては報告書本体の八、九ページに書かせていただいておりますが、ということでございますので、「まずは、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題であり、その際、多様な世代の方が男女共に、悠仁親王殿下を支えるということが重要ではないか。」とされているところでございます。

そこで、概要、三枚物の二ページ目に移っていただければと存じます。本文は九ページの下の方からでございます。ここで、「皇族数確保の具体的方策」といたしまして、三つの案、①、②、③の三つが掲げられているわけでございます。

このうち、①、②の二つの方策について今後具体的な制度の検討を進めていくべきであり、③については、この①、②、二つの方策では十分な皇族数を確保できない場合に検討する事柄と考えるべきではないかという会議としての考え方が示されております。

まず、「①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること」についてでございます。

これにつきましては、悠仁親王殿下の時代に殿下以外の皇族がいらっしゃらなくなるおそれがあるのは、現行制度が女性皇族は婚姻により皇族の身分を離れることとなっていることに一つの原因があるものと考えられるわけでありまして、そこで、この制度を改めて、内親王・女王は婚姻後も皇族の身分を保持することとし、婚姻後も皇族として様々な活動を行っていただくというのがこの方策の考え方であります。

徳川第十四代将軍家茂との婚姻後も皇族のままでおられました皇女和宮などのように、この方策は皇室の歴史に整合的であり、女性皇族が様々行っておられる公的活動の継続性等の観点からも望ましい。皇位継承資格を女系に拡大することにつながるとの考え方もあるが、子は皇位継承資格を持たないとすることが考えられる、また、配偶者と子は皇族という特別の身分を有せず、一般国民としての権利義務を保持し続けるものとすることが考えられる。ただし、以上のような新しい制度とする場合でも、現在の内親王・女王殿下方は現行制度下で人生を過ごされてきたことに十分留意する必要があるとされております。

「②皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること」。

二つ目の案につきましては、養子は、皇族については皇室典範第九条により禁止されておりますが、一般の国民には民法に基づき広く活用されているわけでございます。実際の養子の目的は様々であり、十分な監護が得られるよう未成年の子のために行われる養子縁組もございますが、例えば家名、家業を継がせるという目的で、養子となるのにふさわしい方を当事者間の合意により養子とすることも行われているわけでございます。

そこで、一つ目の丸として、現行制度では婚姻と出生以外に皇族数が増加することがない中で、養子を迎えることを可能とすることは、直系の子、特に男子の出生のプレッシャーの緩和にもつながるのではないか。

二つ目の丸ですが、養子の対象としては、皇族が男系による継承を積み重ねてきたことを踏まえると、皇統に属する男系の男子に該当する者に限ることが適切であると考えられ、いわゆる旧十一宮家の皇族男子は、現行憲法、皇室典範施行後五か月の間、皇位継承資格を有しておられた方々でございまして、その男系男子の子孫の方々に養子となっていただくことも考えられるとされているところでございます。この旧十一宮家の方々でございますが、皇位継承順位第六位が三笠宮家の寬仁親王でおられたわけですが、その方に次ぐ第七位以降二十六方が、当時、皇位継承資格を持たれていたわけでございます。

養子となって皇族となられた方は、皇位継承資格を持たないこととすることが考えられる。

以上、②について、そのように整理がされているところでございます。

③の案でございます。「皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること」についてです。

皇族という特別な立場について、一般国民における家族制度とは異なるアプローチを取るものであり、現皇族の御意思は必要としないという面もあるわけでありますが、しかしながら、現在いらっしゃる皇族方と何ら家族関係を有しないまま皇族となることは、②の方策、養子案でございますが、これに比べ、より困難な面があるのではないかとの指摘もあるということでございます。そういうことで、①、②の方策では十分な皇族数を確保することができない場合に検討すべきとされているところでございます。

お手元の概要紙、三枚物の三ページに移っていただきまして、先ほどの①、②、③以外のその他の方策として、婚姻により皇族の身分を離れた元女性皇族の方に皇室の活動を支援していただくことについても触れられております。

これは、現に、皇族の身分を離れた後も皇室にゆかりの深い役割を続けておられる元女性皇族の方も実際にいらっしゃるわけでありますが、しかしながら、元皇族では、摂政、国事行為の臨時代行、皇室会議の議員といった法制度上の役割は果たしていただくことができませんので、やはり皇族数の確保のためには①から③のような方策が必要であるとされております。

最後の「おわりに」につきましては、報告書本体にお移りいただきまして、十五ページを御覧いただければと存じます。「おわりに」のところで、会議メンバーの皆様の思いが述べられているわけでございます。ここは読ませていただきます。

我が国の皇室は、世界に例を見ない長い歴史と伝統を有しています。この会議のメンバーはそれぞれ、皇室に関わる議論に参加することについて、役割をしっかり果たさなければならないという思いと同時に我が国の未来に関わる大変重く難しい問題であるという認識を強く持っております。

しかしながら、これらの課題は時機を失することなく考えていかなければならない事柄でもあります。会議のメンバーは、歴史や伝統に対する謙虚な気持ちを抱き続けながら、真摯に、慎重に議論に臨んでまいりました。

ヒアリングでは、議論を進めるために大変有意義な知見を数多く得ることができましたし、専門分野、世代、性別など様々な面で多様な方々から幅広い考え方を伺うことができました。特に、この議論を行うに当たっては、歴史や制度に対する正確な知識が必要不可欠であるということを改めて認識しました。

会議のメンバーも様々なバックグラウンドを持ち、男女同数で年代的にも幅広い構成の中で、それぞれ真摯に議論を重ねてまいりました。具体的には、憲法を始め現行の法制度と整合を取りながらどのように制度設計すべきか、御公務の在り方を含め、今後の皇室の活動をどのように考えていくべきか、制度を決めるだけでなく、国民や当事者の方にも受け入れられるようにするにはどうすればよいか、当事者の方の御意志をどのように制度に位置付けることができるか、などについて真剣に考えたところです。

その中で、皇位継承については悠仁親王殿下までの流れを前提にすべきであるとの考えで会議として一致しました。皇位継承の問題とは切り離した上で皇族数の減少が喫緊の課題であるという共通認識の下に、皇族数の確保に向けてできるだけ多様な選択肢を提示するという考え方に立って検討を進め、その具体的な方策を示唆するに至った次第です。

これらの方策を実現することは、悠仁親王殿下の後の皇位継承について考える際も、極めて大事なことであると考えます。

これらの方策について、国民の間には、様々な受け止めもあるかと思います。ここにお示しした会議の議論の結果が、国会をはじめ各方面における検討に資するものとなることを期待するものです。

その際、福沢諭吉が「帝室論」の中で、「帝室は政治社外のものなり」と述べているように、この皇室をめぐる課題が、政争の対象になったり、国論を二分したりするようなことはあってはならないものと考えます。静ひつな環境の中で落ち着いた検討を行っていただきたいと願っています。

とされているわけでございます。

私からの御説明、御報告は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

○衆議院議長(細田博之君)ありがとうございました。

今日は、衆参両院の各党各会派、十二の党、会派の代表の方にお集まりをいただいているわけでございます。各党各会派におかれましては、御質問等ございましたら、お手元の政府側出席者のペーパーにあります連絡窓口に御連絡していただき、個別に説明を求めていただきたいと存じます。

しかし、今日、特にこの場でお聞きになりたいことがございましたら、お受けいたしたいと思います。本日は、政府側の説明を聴取して各党各会派にお伝えして、各党各会派の中で御検討を開始していただきたいという趣旨が込められております。時間も限られておりますので、簡潔に御質問いただければと思います。

それでは、御発言のある方は挙手をお願いいたします。

○参議院議員(渡辺喜美君)座ったままで失礼させていただきます。みんなの党、渡辺喜美でございます。お尋ねしたい点が三点ございます。

まず第一点は、日本の長い天皇制の歴史の中で、男系女子、女性天皇という存在が何人かいらっしゃいます。一番最初は推古天皇、聖徳太子が皇太子としてお仕えなさった方ですね。おばさんに当たります。男系女子まで広げませんと、今後、天皇制が再び危機的な状況に陥ることも考えられますが、そういった議論はなされなかったんでしょうか。

第二点であります。日本の長い天皇制の歴史の中で、いわゆる非嫡出子の天皇というのが相当数いらっしゃいます。この点について、男系男子を御主張される方々からこうした議論がほとんどなされなかったようにこの報告書では拝見をいたしましたが、議論はなかったのでありましょうか。

第三点目です。皇位の安定的な継承のためには、皇室典範とはちょっと違いますが、皇室財産というものが必要でございます。御案内のように、昭和天皇陛下がお亡くなりになられましたときに、課税遺産は大体十八億円ぐらいですね。九億何千万を今の上皇陛下がまとめて相続されました。相続税は四億数千万だったと言われています。残りの半分は皇太后陛下が相続されたのでありますが、皇太后陛下がお亡くなりになりましたときには、いわゆる相続税額の公示制度というのがあった。しかし、二億円以上が公示されるはずなんですが、皇太后陛下の場合には公示されなかったんですね。ということは、財産が相当目減りしてしまっている。内廷費は税金はかかりませんけれども、内廷費の使い残しには税金をかけるぞと。こういう在り方が皇位の安定的な継承、天皇制の安定的な維持のために果たして正しいのだろうか、そういう議論はなされなかったんでしょうか。

以上三点、お願いいたします。

○内閣官房皇室典範改正準備室長(大西証史君)御下問ありがとうございます。

御下問いただいた中で、まず一点目でございますけれども、男系女子まで拡大してはどうかといったような御意見は、ヒアリングの中で結構といいますか複数出ておったのは確かでございます。ただ、全体としまして、今回の有識者会議の御議論につきましては、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、次世代の皇位継承資格者として悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、その流れをゆるがせにしてはならない、この制度は極めて安定的なものでなくてはならないということで、具体的に次代以降の皇位の継承につきまして議論するには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させるとも考えられるということで、男系女子の位置づけなどの議論につきましても、将来において、悠仁親王殿下の御年齢や御結婚等をめぐる状況を踏まえた上で議論を深めていくべきではないかというふうに整理されたところでございます。

二つ目の御下問でございます。

非嫡出子の議論でございますけれども、皇族を嫡出の方に限定していることにつきましては、戦後、現行典範が制定されましたときに、社会一般の道義的判断に照らして、皇族の資格としては嫡出子に限ることが適当であると判断されております。また、当時は皇位継承資格者が十分存在しておったということも背景としてはあったとは思われます。

そういう価値判断は、今回ヒアリングで御意見を述べていただく方々の中にも同じものとして持っていただいたようでございまして、余り非嫡出子にまで踏み込んでという御意見は見当たらなかったのは先生御指摘のとおりでございます。

あと、皇室財産、また課税の扱いにつきましては、まず、今回は、数の確保という意味での大きな方向性、在り方を御議論し提案いただいたところでございまして、具体の制度につきましては、その後の国会での御議論、また施行に向けての御議論の中で整理をさせていただく話かと思っております。

以上です。

○衆議院議員(茂木敏充君)私は、平成二十九年の天皇の退位等に関する皇室典範特例法の検討のメンバーでもありまして、当時の衆参議長の下で、静ひつな環境の中で各党の合意を得るように、そういう議論を進めてまいりました。

今回、附帯決議を踏まえて有識者会議の皆さんが十三回にわたりまして真摯に丁寧な議論を積み重ねていただいたこと、まず、心から敬意を表したいと思います。

そして、報告書の内容でありますが、バランスの取れた内容になっている、このように受け止めているところであります。

皇位の継承と皇族数の減少についての基本的な考え方、二点あるかと思います。

今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。もう一点、まずは、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題である。この基本的な考えについて、同じ認識を持っているところであります。

その上で、この報告書の本体の三ページでありますが、一番下のところに、なお以下の二行でありますが、「なお、「宮家」という言葉がありますが、これは、独立して一家をなす皇族に対する呼称であり、法律に基づく制度ではありません。」こういったことが断ってあります。

こう書いた上での検討ということでありまして、これはまさに、附帯決議を踏まえながらも、法制度的にどのような具体的方策が考えられるのかという観点から案を提示していただいた、このように理解していいのかどうか、お聞きをいたしたいと思います。

その上で、最後、今後でありますが、事柄の性格からして、静ひつな環境の下で検討を深めるということが極めて重要だと思っておりまして、衆参議長におかれましては、今後の検討の在り方について、どのような形を取っていくか、まず各党にお示しいただけるとありがたいと思っております。

以上です。

衆議院議長(細田博之君)ほかにございますか。ただ、十二会派で五分ずつ御質問になると、質問だけで一時間を超えてしまいます。今日は三時頃から御予定のある方もおられますから、今日はお伝えして疑問点を政府に対して提出していただいて、あとは党内でまた御議論をいただくという趣旨でございますので、その趣旨を踏まえまして、御意見のある方はどうぞ。

○内閣官房長官(松野博一君)茂木先生の質問にお答えをいたします。

附帯決議においては、政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について検討を行うこととされているものと承知をしております。

報告書によれば、先ほど茂木先生の方から御指摘をいただきましたとおりでございますが、宮家という言葉は法令用語ではないということであり、女性宮家という言葉もはっきりした定義はないものと承知をしております。政府においては、従来から、女性宮家の創設等について、課題となっている事柄の内容として、女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等と申し上げてきたところであります。有識者会議においても、同様な形で附帯決議の課題を受け止め、議論がなされたものであると承知をしております。

○衆議院議長(細田博之君)私への御質問もありますが、これは、各党各会派がまずいろいろな御意見をおまとめいただいて、お出しいただいて、その中で中立的な立場でまた事柄を進めていく、それが両院議長の役割でもあると思っておりますので、その点を皆様方も御了解いただきたいと思います。

○衆議院議員(野田佳彦君)立憲民主党を代表いたしまして御質問させていただきたいというふうに思います。

政府に対する質問は三点あるんですが、その前に、議長、副議長に改めてお願いしたいと思いますが、まず、今日はこういう場をつくっていただいたことに深く感謝申し上げたいと思います。

その上で、平成二十九年当時のお話が出ましたが、特例法とその附帯決議を作った折には、正副議長に、丁寧な議論を推し進めて、各党の意見を本当に漏らさず聞いて、論点整理をして、そして立法府の総意をつくっていく上で大変な御尽力をいただきました。大きなリーダーシップがあったと思います。今回も、立法府の総意をつくるために、是非、大きなリーダーシップを振るっていただきたいということを御期待申し上げるとともに、こういう議論をする前に、いつまでに、どういう工程でということを各党間で合意をしてから前回は議論をスタートしましたので、今日は、どういうイメージを持っていらっしゃるかを後でお伺いできればというふうに思います。

その上で、政府には、基本的な考え方と、それから、提案として出てきている女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持される案と養子縁組案、それぞれについて一つずつ、党内の議論を深めるために、分からない表現がありましたので、そこだけまずお尋ねをしたいというふうに思います。

まずは、本体の報告書の六ページでございます。十四行目から十六行目に関わる、ほぼ下の方の段であります。附帯決議で要請した皇位の安定継承への回答が先延ばしをされておりますが、報告書の今指摘をした箇所でありますが、「次世代の皇位継承者がいらっしゃる中でその仕組みに大きな変更を加えることには、十分慎重でなければなりません。」という表現があります。

これは、読み方によると、次世代の皇位継承者が皆無になるまでは本格的な検討ができないかのような表現のように私は受け止めます。この表現に妥当性があるとするならば、次世代の継承者が複数いらっしゃる場合はこういう表現でもいいと思うんですが、たったお一方しかいらっしゃらない中で、悠仁様が乗っていたワゴン車が車に追突したりとか、あるいは通っている学校に不審者が侵入してきたりとか、いろいろなことがありましたね。たった一人しかいないということに対する危機感が私はこの文章から表れていないというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

それから次は、十ページの下から三行目から四行目辺りに書いてありますが、配偶者と子は「一般国民としての権利・義務を保持し続ける」という表現がございます。

この場合、政治活動、経済活動、宗教活動の自由が尊重されなければならないということになります。そのことと、日本国の象徴、日本国民統合の象徴、国政に関する権能を有しないとされる憲法上の天皇及び皇室の立場と、これは両立できることなのかどうか。例えば、配偶者は投票権をもちろん持っているわけです、国民ですから。でも、被選挙権も持っているんですね。立候補したらどうするかなどなど、これは非常にイメージが合わないと私は思いますね。これで本当にいいのかどうか、そこまで検討しているのかどうか、お尋ねをしたいというふうに思います。

それから、十二ページ十四行目と十五行目のところです。これは養子縁組案ですが、「養子となって皇族となられた方は皇位継承資格を持たないこととすることが考えられます。」という表現であります。

縁組後に結婚された場合、そのお相手は皇族の身分になるのか。お子様が生まれた場合、皇族の身分で、男子ならば皇位継承資格を持つのかどうか。これは報告書には言及がございませんが、大事なことだと思いますから、その点についての御説明をいただければと思います。

ほか、たくさんあるんですが、三点に絞ります。

○内閣官房皇室典範改正準備室長(大西証史君)ありがとうございます。

まず一つ目の御下問でございますが、悠仁様までで皇位継承資格を有する方がお三方おられるということの認識は皆様いただいているところでございます。先生が例示されましたようなケースにつきまして、具体に私も思い出すことはできませんが、悠仁様までしかいないということも十分御認識をいただいた上での御議論をいただいたと私は認識しております。

女性皇族の配偶者や子は皇族としないとの考えが示されているけれども、これで諸般うまくいくのかという御下問でございます。

これにつきましては、例えば、具体に話題になったりしましたのは、日常生活がうまくいくのかということで、皇族費の使途でございますとか、いわゆる賜与、譲受、財産の制限などについてどうするのかというようなことが私ども事務方に検討項目として有識者会議から下ろしていただいたような経過はございました。

それにつきましては、今回の有識者会議の報告書におきましては、皇族数を確保するにはどのようにしていけばよいかという観点から、制度を考える上での根本となる事柄を示していただいたということと考えておりまして、御指摘のような具体的な制度内容につきましては、実際に制度化が図られる際にまた並行して検討していくべき事柄ではないかというふうに考えております。

先生の例示におきましては、更にそれが政治活動ですとか宗教活動といったような例示にまで及んでおりまして、そこはまさに、今後の国会の先生方の間での御議論も含めまして御検討いただくべきところでありますし、また、その結果を受けまして私どもも検討しなくてはいけないところはあると思います。以上でございます。

三つ目でございますけれども、養子となって皇族となられた方は皇位継承資格を持たないとしておりますけれども、その理由は何かというところでございます。

有識者会議におきましては、まずは、皇位継承の問題とは切り離し、喫緊の課題として皇族数の確保を図るための方策の検討が行われたことがその背景、理由と考えてございます。

会議におきましては、皇族数を確保する観点から養子の案を議論するに当たりまして、養子となった方は皇位継承資格を持たないこととするのがスムーズな合意形成につながるのではないかといった御意見も、十二回の会議でございましたけれども、あったところでございます。

以上です。

○衆議院議員(野田佳彦君)最後はちょっと答えがきちっとしていないんですが、養子になられた方が御結婚されたときに配偶者は皇室に入るのか、お子様が生まれたら男系男子として皇位継承資格が生ずるのか、そこまでちゃんと考えているのか考えていないのか。

○内閣官房皇室典範改正準備室長(大西証史君)ありがとうございます。

会議におきましては、そういうことでございます。なお、皇位継承との関係でいきましたら、報告書におきましては、皇族数を確保するための方策を実現することは、悠仁親王殿下の後の皇位継承について考える際も極めて大事なことであるとも述べられているところでございます。

なお、現行の皇室典範では、皇族の子、皇族の夫婦から生まれた子は皇族となるということになってはございます。

○衆議院議長(細田博之君)私への御質問もございました。

私としては、今日お集まりの十二の政党そして各会派に早急に検討をしていただきたい。様々な問題点も包含されているわけです。先ほど茂木君が言われました前回のときには、あの法律は、主として天皇の退位について、当時、御高齢であり大変な御負担がかかっているから、退位についてどうするかという大問題がございまして、これも法律を定めなきゃならない。しかし、全党がかなり共通の認識で、確かにもうそろそろ御健康の問題もあり御退位いただくのが適当ではないかという共通の意見があって、それで、鋭意議論をして成立したという背景があります。

今後の皇室の在り方の問題については、私も平成十七年に内閣官房長官を務めており、小泉内閣のときに、いわゆる皇室典範の有識者会議を開き、一年近く議論をした上で、平成十七年十一月に報告書を得たんですが、そのときも様々な議論がありました。しかし、その後、悠仁親王殿下がお生まれになったり、様々な変化があって、各党各会派にも様々な御意見があるということをよく承知しております。

しかし、将来のことを考えますと、各党各会派も、それぞれの党の中の調整をしていただいて、どういう在り方が最も適当であるかということをできるだけ早急に意見をまとめる努力をしていただきたい。そして、これから早急に議論をしていただくと、だんだん方向が出てくるでしょう、各党の御意見の。それを見た上で、できるだけ各党から出た意見をまた調整する作業に従事したいと思っておりますから、今、いつまでにどうするということは申し上げられませんが、やはり、この報告書が出た以上は、議論を、できるだけ速やかに検討していただきたいと思っております。

それが、どのような時期に各党の意見がまとまるかは、これから、やはり各党中心になって御検討いただきたいということだけ申し上げたいと思います。

○参議院議長(山東昭子君)参議院といたしましては、とにかく、この問題はやはり非常に重い問題でございますので、まず、政争の具にしてはならないということが基本だと思っております。その上で、やはり私どもは、皆様方も同じでございますけれども、国民の代表であるわけでございまして、いろいろな議論をしょってここへ出てこられておられる。ですから、私ども議長職にある者がこの議論の始まる前に個人の考えというものを述べるというのは、皆様方の様々な意見に多大な影響を与えかねないというような危惧を持っておりますので、私どもは、一切それを申し上げるのは控えたいと思っております。

また、この政府からのお話を受けたときに、これはやはりしっかりと皆様方で議論をしていただいて、いつまでとか、あるいは余り早くというようなことではなしに、やはり慎重に、大いにいろいろな角度から議論をしていただくというのが私はベストではないかと思っておりますので、そういうことを踏まえて、どんな形で議論をなさるのか、それも皆様方でまたもんでいただいて、結論を出していただきながら、いい方向に向かって、多くの方々が納得できるようなお答えが出てくれば大変ありがたいなと思っている次第でございます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

○衆議院議長(細田博之君)今ここでどうしてもこういう質問をしておきたいという党、会派があられれば、どうぞ。

あとは、もう御自由に政府の担当者を呼んでいただいて、十分御検討いただきたいと思います。

それでは、以上とさせていただきまして、政府側も是非しかるべく対応していただきたい。各党もそのような精神でよろしく御検討いただきたいと思います。
本日は、ありがとうございました。

午後二時五十二分終了

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